EXHIBITION of AG+ Gallery

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Fragmentary Documents of Kanendo Watanabe1973 – 2018 Exhibition (7 in all)

断片的資料・渡辺兼人の世界 1973‒2018 全7回

40 年を超えて、個展での作品発表を続けてきた写真家・渡辺兼人。その写真に向かう誠実な態度によって到来した作 品の数々はしかし、個展という特性上、ともすれば時間の 彼方へ遠退いてしまう。最新作『声』を皮切りに、『既視の 街』『逆倒都市』『YAMATO』などの代表作を、ヴィンテー ジプリントや貴重な資料と共に全 7 回にわたって一気に顧 みる。作家自身のトークショーや、ゲストとの対談なども 多数開催し、表層だけでは伺い知れない渡辺の厳格なモノ クロ写真の世界を、これまでになかった視点で解読しようとする企てである。

主催 : AG+ Gallery
監修 : 笠間 悠貴
協力 : 東京綜合写真専門学校・ギャラリーメスタージャ

*ギャラリー2F にて資料展同時開催

第1回 2017.9.14 - 9.30 スナップ - 『
    *レセプション 9月9日(土)17:30〜

第2回 2017.11.9 - 11.25 都市 ①- 『既視の街
    *トークセッション 2017年11月25日(土)16:00〜
     渡辺兼人 + タカザワケンジ + 笠間 悠貴

第3回 2018.2.1 - 2.17 都市 ② - 『逆倒都市Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ
    *トークセッション 2018年2月17日(土)16:00〜
     渡辺兼人 + 金村修 + 笠間 悠貴

第4回 2018.4.12 - 4.28 都市 ③ -
YAMATO - TOKYO・大和・F』
    *トークセッション 2018年4月21日(土)16:00〜
     渡辺 兼人 + 鷲見 和紀郎 + 外久保 恵子

第5回 2018.6.7 - 6.23  旅  - 『彷徨・写真・城市
                  『LʼATALANTE
                  『摂津國 月の船
    *トークセッション 2018年6月9日(土)16:00〜
     渡辺兼人 + 柴田敏雄 + 笠間 悠貴

第6回 2018.11.1〜11.17 島 - 半島』
                『 (島)光の暴力』
                『 孤島』
   *トークセッション 2018年11月10日(土)16:00〜
     渡辺兼人 + 倉石信乃 + 笠間 悠貴

第7回 2019.5.16 - 6.1   草・水 - 水無月の雫 / / 忍冬

 *トークセッション・クロージングレセプション

  • 2019年6月1日(土)16:00〜

     渡辺 兼人 + 伊奈 英次 + 笠間 悠貴 + David Ohyama

第 7 回 草・水

『水無月の雫』『雨』『忍冬』

2019年5月16日(木)〜6月1日(土)
時間: 木・金・土 13時〜19時


流れ来ては去り、それを繰り返す水は時の変化を喚起する。薄曇りの朧々とした東京 湾を捉えた「水無月の雫」、 地面の水たまりに波紋を刻む雨の様子へ耳目をそばだてた「雨」、琵琶湖畔や淀川流域の水辺に茂る植生に目を向けた「忍冬」など、1990 年代後半 以降の渡辺兼人は、汀への関心を深めている。そのフレームワークはより一層平易に、 モチーフはなお一段と簡潔になり、この時代の渡辺の作品はミニマルの度合いを極め た仕上がりを見せる。湿度を孕んだ茫漠たる風景は、強い孤独と不安を呼び覚ます。 それは、視線の向かう対象の不明瞭さだけが理由ではない。水の流れは、留まることを知らない時間の映し鏡として、観る者自身に 降りかかる。死に向かう自分自身を沁々と見出すことになるからだ。流れのメタファーの中で、写真は特異点としてある具体的な時 間の狭間に佇むことが可能なのか。これらの作品に対峙するとき、研ぎ澄まされた構図の中で、長年にわたる渡辺の問いに向き合う ことになるだろう。

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© Kanendo Watanabe

*トークセッション・クロージングレセプション
2019年6月1日(土) 16:00〜
渡辺兼人 + 伊奈 英次 + 笠間 悠貴 + David Ohyama (料金無料・当日受付)

渡辺兼人(写真家)
1947年生まれ。1969年東京綜合写真専門学校卒業。1981年第7回木村伊兵衛写真賞受賞。著者に『渡辺兼人写真集』(京都現代美術館何必館)、『既視の街』等。

伊奈 英次(写真家)
1957 年生まれ。’ 81 年東京綜合写真専門学校第二芸術科卒業、’ 83 年同研究科卒業。’ 81 年より大型カメラでの制作・発表を開始。東京の景観を撮った「In Tokyo」で注目され、 以後、日本各地の在日米軍基地の通信アンテナ、産業廃棄物、都市に点在する監視カメラ、天皇陵などといった、都市、環境、軍事、歴史など日本の近現代をテーマに撮影している。1998 年レオポルド・ゴドウィスキー Jr. カラー写真賞受賞、2009 年 さがみはら写真賞受賞、収蔵作品はサンフランシスコ近代美術館、パリ国立図書館、国立近代美術館、川崎市市民ミュージアム等。

笠間悠貴(写真研究家)
1980年大阪府生まれ。現在、明治大学理工学研究科博士後期課程在学中。渡辺兼人論や、写真の気象表現について論述しながら、自身も作品制作をおこなっている。今回の「断片的資料・渡辺兼人の世界」展を監修。

David Ohyama(写真家)
1973 年生まれ。東京綜合写真専門学校および同校研究科卒業。AG+ Gallery 主宰。著書に『Pearl Sinter』、『Les Ruelles de Daegu』など。